「マンネリ」を打破するには パート2

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
 
 
10月もあっという間に半ばとなった。行楽シーズンということもあり、紅葉を見ながらゆっくり過ごしたいものである。
 
 
さて、今回も引き続き「マンネリ」について話していきたい。組織のトップにとって目を背けたくなる内容かも知れないが、マンネリを乗り越えるためのヒントがたくさん詰まった内容になっているので、ぜひご覧いただきたい。
 

 
マンネリ②_1

人間関係を見直す

マンネリが起きたと感じたら、トップは組織の人間関係に目をやる。
 
 
そこで、気になるポイントがあれば、そこの改善を目指すのがいい。マンネリから生じる、業績低下とか、仕組み作りの見直しとか、さらなるコストダウンとか、そういった具体的な取り組みに入る前に、人間関係の改善に目を向ける。
 
 
上司と部下、同僚同士、取引先との関係、顧客との関係。マンネリによって、これまで見えにくかった悪い人間関係が表面化しているかもしれないので、いろんな関係を改善させる取り組みは、やりやすくなっているかもしれない。
 
 
とにかく、組織内は団結させることを考えたほうがいい。そのためには起爆剤が必要となる。思い切って社内の不平不満をあぶり出すのだ。会議形式でもワーク形式でもいい。なにか共通の話題をみつけ深掘りしてみる。見たくないものを見る。聞きたくないことを聞く。
 
 
つまり、直面化の作業をすることでお互いのわだかまりを取るのだ。できるだけ上司の意見だけでなく、末端社員やパート社員などの話に耳を傾けていく。これらトップが中心となって直接やる。細かいことを聞き漏らさず真剣に聞く。そして、それぞれが腹の中でおさえている業務の不満をはき出さす。
 
 

人間関係を改善する


マンネリ②_2
こういった作業はトップでもつらいだろう。自分への批判もあるだろうし、痛いところをつかれると説明できない。
 
 
それに隠していたほうがいいこともあって、さらけだすことでかえって関係が悪くなるかもしれない、と思われたかもしれないがそうではない。おさえておいてもいつかは爆発する。
 
 
そのときは、いまより大きな問題となっているだろう。それを考えるといましたほうがいい。マンネリを感じることによって、この時期だと思うことだ。
 
 
なかには、マンネリになっているということすら、見たくない現実だと感じている部下もいるだろうから、いま、組織で起きている問題は、マンネリを含めてなになのか?ということに直面させることは効果がある。
 
 
朝礼、定期会議、報告書、見積方法、現場管理、職人への支払い、社内行事、人事考課など。「前から気になっていました」「なぜ、だれも言わないのだろうと思っていました」「自分はこんな疑問を持っています」「○○さんへお願いがあります」といったように、それぞれが普段ふれない話題をだし、単純に話を聞くだけでもいい。
 
 

主流から離れてはいけない


マンネリ②_3
部下から話を聞き出し、場合によっては方針やルールを変えることがあるかもしれない。それ自体がマンネリの打破になるのでいいのだが、ここでトップが気をつけるべきことがある。
 
 
それは、会社が本来持っている戦略、方針、理念などの主流から離れてはいけないということ。いくら人間関係の改善だといっても部下のいうことを聞きすぎると、時として会社の主流から離れてしまうことがあるからだ。
 
 
主流からそれると会社が弱くなってしまう。特徴が薄れていくからだ。また、会社の主流の維持と、今おきている会社の問題点の解決とは全く関係ないのだ。
 
 
それを、ひとまとめに考えてしまい、些細な問題解決によって根幹を揺るがす方法をとってはいけないといいたいのだ。会社は社員みんなで作っていくものだが、会社の主流まで作るわけではない。
 
 
主流はあくまでトップであって、会社の憲法のようなものだ。おいそれとは変えるものではない。
 
 
前回「古きを温めて新しきを知る」といったが、これがまさにそうだ。「温めるべき古き」とは会社がもつ主流であろう。
 
 
そして「知るべき新しき」というのは、主流に流れ込む枝葉である支流のことであろう。いま、組織に漂っている問題解決によって、あらたな主流が作られることもなくはないが、マンネリによっておこる問題は、主流を太くするために必要なことが多く、取ってかわれるものでない可能性が高いのだ。
 
 
たとえば、手作りの豆腐屋だとする。競合する豆腐屋とのちがいは、わき水と厳選されたにがりだとする。
 
 
すると、この豆腐屋は、「手作り、わき水、にがり」にこだわった高級販売が商売の主流だとする。そこに競合豆腐屋が機械をつかい「うまくて安い」という戦略に出たとする。
 
 
この競合に勝とうと、従業員が瞬間の発想によって「できるだけ手作り部分を省略して安くしたほうがいい」といったとする。いくら人間関係をよくしたいとはいえ、こういう言葉に惑わされてはいけないのだ。
 
 
なぜなら、この言葉には、これまで「売りにくい高い豆腐」に売り飽きたマンネリの脱出から、安直に安さにチャレンジしたいということが読み取れる。
 
 
つまり、これまでの主流から離れ「安売り」という支流を流し込もうとしているのだ。これまでの「高級手作りの豆腐」を作り続けることから生じるマンネリを打破するために、主流から離れようとしているのだ。本末転倒になってはいけないのだ。
 
 

本業に飽きて副業に力をいれる


マンネリ②_4
また、本業がうまくいくと副業をやりたくなるのも同じことである。
 
 
これも主流を揺るがす行為であり、マンネリを打破するための間違った戦略である。昔からよくやるのが、儲かっている工務店がする水商売だ。
 
 
なぜか建築会社は飲食店などをしたがる。当たり前だが、たいていがうまくいかない。また、たんなる暇つぶしで終わらず、本業をも揺るがす結果になるのが多い。
 
 
建築会社は大金を回すので資金がたてやすい。なので、わりと思い切って金をかけられる。しかし、2〜3年もやればボロが出る。そして資本や運を失うのだ。
 
 
いいたいのは、いつも主流を中心で考えるということだ。あなたの会社にある「いまの会社を作り上げた主流」があるのなら、その軸はぶれてはいけない。
 
 
あきらかに業績が落ちて、次の主流を作らなければならない状況ならしょうがないが、マンネリ打破の発想で主流は変えてはいけない。
 
 
そうやって考えてみると、我社の主流はなんだろう?と考え込んだかもしれない。しかし、どの組織でも、いままで苦労を重ね成果をあげることができた主流というものはある。
 
 
なかには、いろんなことをチャレンジし続けたので、どれが柱か分からないという人もいるだろう。どんな人でも、いま、安定したアプローチをしていることがあるのなら、それが主流となっているはずだ。
 
 
もっといえば、もし、主流がはっきり分からないのなら、マンネリを機会にはっきりさせておくのもいい。マンネリがおこるたびに、我社の主流はなんなのか?特徴とはなにか?他社との違いは?当社から買うメリットは?セールスポイントは?そういったことを議論して、組織内に浸透させることをやってみてもいい。
 
 
主流となる戦略は変えなくとも、時代時代の流行・アイデアによって生み出された戦術を武器として増やすこともできるかもしれない。
 
 

マンネリを受け入れる


マンネリ②_5
では、最終的にはどうするのがいいか?答えは出ただろう。
 
 
ある意味マンネリは受け容れるべきだということ。マンネリによって組織はマイナスになるのではなくて、いつもプラスに動く。
 
 
マンネリに気づくことで、組織は問題に気づき、トップの力が認められ団結が生まれる。そして、組織は成長していくのだ。
 
 
つまり、マンネリこそが成功の秘訣だと思ってもいい。マンネリをうまく打破し、次につなげるか?ということが組織には必要なのだ。
 
 
本来、「仕事というのはおなじことをやり続けること」といえる。そして、「給与というのは、その我慢料だ」ともいわれる。であれば継続することが重要であり、それこそが成功につながる。簡単に主流や本業を変えないほうがいいのだ。よって、マンネリは受け容れなければならない。
 
 
最後に、東京銀座で有名な寿司屋で「すきやばし次郎」を紹介しよう。ビルの地下にあるたった10席ほどの店。
 
 
もう90歳になろうかという次郎さんは、ミシュランガイドで三つ星レストランとして食通をうならせている。シンプルなすしを20個ほど食うだけで3万円かかる。小皿もつまみもない。店に入ったら、出されるがままに順番にすしを食うだけ。早い人なら15分で食べきると言う。なんともすごい店だ。
 
 
しかし、それよりすごいのは次郎さんがいう、「人にはできたはない、いつも、もっとうまくできないかだ」という信念だ。
 
 
実際彼もそれを70年以上それだけを考えてきたという。成功する秘訣は、自分の仕事に没頭すること。あれこれ考えずに飽きることなく没頭する。それしかないと。
 
 
たぶん、なんどもマンネリが彼をおそってきただろう。しかし、彼は何も動じず、そしてただ毎日、粛々とおなじことをやり続けただけである。しかし、それは、ミシュランからの来客を毎回うならせるクオリティにしているのだ。
 
 
これも、マンネリの乗り越え方の一つだろう。いずれにしろマンネリは上手に活用しなければならないのだ。次郎さんもマンネリを乗り越える手段にとして、あえて変革せずに淡々とおなじことを繰り返し乗り越えたのだと思う。
 
 
マンネリを受け容れるというのは諦めではない。苦難の乗り越え方を学ぶと言うことだ。そう考えて行動して欲しい。
 

 

 

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