効率化を考えない戦略 パート1

森下 吉伸

こんにちは。森下です。
 
 
今年も始まった全国高校野球。節目となる100回目という事もあり、例年以上の盛り上がりを見せている。暑さに負けず球児たちにはぜひ頑張って頂きたい。
 
 
さて、今回は「効率化を考えない戦略」について話していきたいと思う。
 
 
効率化はビジネスにとって基本ではあるが、それを考えないとは一体どういうことなのか?2回に渡りじっくり話していきたいと思う。

 
効率化を考えない戦略_1

リフォーム業者が行う不動産業

現在の流行として「リフォーム+不動産」というのがある。新しいモノを生み出すときの定番である「違うモノ同士をあわせ、新たなモノを生み出す」ということだろう。
 
 
かつて、カメラと電話をあわせ、今もなお需要がある携帯電話などがそのいい例だ。リフォームと不動産は、まったく違うわけではないが、これまで連携はあっても、同じ窓口で売られたことがなかった。一つの窓口で中古住宅の仲介を行い、直接リフォームの提案をし、総額でローンをつけることはなかったのだ。それが、いま多くのリフォーム会社がこの2つをあわせて次の展開をめざしている。
 
 
一般的には、新築需要が下がるといわれ、中古住宅を購入する人が増えると言われている。どこまで推測が当たるかは分からないが、そこに目をつけている業者は多い。
 
 
リフォーム会社も、これまで不動産仲介業者になかった丁寧なサービスによって競争力をつけようとしている。ただでさえ、 「CtoC」が盛んになるだろうとも言われる不動産流通業では、ただ、単に不動産を紹介するだけでは個人間売買に負けてしまう。
 
 
不動産の瑕疵などを確認してくれるプロの手助けとあわせて、住宅改修が必要な部分の判断や実際の工事は、これからも必要なプロのサービスとなる。そのスタイルはリフォーム会社が行いやすく、そこにも「リフォーム+不動産」というメリットがある。

リフォーム+不動産もワンストップ


効率化を考えない戦略_2
これまで複数の窓口や手段を経ないと買えなかったものを、集約することで簡単に買える方法を「ワンストップ」という言い方を耳にすることが多くなった。
 
 
「リフォーム+不動産」もワンストップが一般的で、不動産(中古住宅)の紹介、希望リフォームの計画と施工、そして物件購入費とリフォーム費の総額での資金繰りとローンの取り付けと、これまで複数にまたがった窓口を集約する会社が多い。また、この方法に新規参入組は大きな期待を持っているのも事実だろう。
 
 
ただ、今後は、この流れに旧態依然とした不動産業者が抵抗をするかもしれない。もともと「いい物件情報」だけが命で、身内以外の部外者をよせつけない商売をしていた不動産業にとって、不動産業界への新規参入はおもしろくないだろうし、 実際に客付けが減るからである。
 
 
よって、「リフォーム+不動産」の成功は簡単ではない。情報を業者間のつながりで共有し合う村社会を、新参者がどこまで対等に新しい社会をつくるか。新たな不動産の流れを確立して、既存業者と袂を分けることが必要となる。
 
 

不動産販売は売り切りである


効率化を考えない戦略_3
また、ワンストップを具体的に進めるときに注意点がある。それはリフォームを売ることと、不動産を売ることを同じで考えてはいけないということ。
 
 
これは、かつて新築販売とリフォーム販売を同じ営業方法で行った失敗例に似ている。まず、「売り切る」という行為と、「継続して何度も売る」という行為は微妙に違う。
 
 
新築は売り切るというニュアンスであり、リフォームは何度も売るというニュアンスである。新築や不動産の購入は、まず、買えるかどうかがポイントなので、資金計画から入る事が多い。他の商品を買うように、どういう内容か?より、そのものが買えるかどうかが重要となる。
 
 
リフォームと違って新築や不動産購入は、工事範囲や工事方法、グレードの調整によって予算が変えられるといったことはあまりない。よって、「これで買うか買わないか?」という白黒がハッキリする営業をやらないといけない。
 
 
顧客の希望する価格、間取り、家の坪数、ロケーション、学区など、どこかに問題があっても、それだけ調整するワケにはいかないので、「すべてをクリヤーする物件はない」といい、多少の不満を持ちながら買ってもらうしかない。
 
 
多少は脅したりすかしたりといった行為もあるかもしれない。「売り切る」というのはこういった意味である。
 
 

リフォーム販売方法と色分ける


効率化を考えない戦略_4
また、「売り切る」というのは、この買い物で、いま用意できる全てのお金を使ってでも、いま買わせたいという面がある。
 
 
もちろん、全財産を使うことはないが、すくなくとも3年後、5年後に出費する費用を押さえてでも、今回の買い物を優先してもらいたいという期待はあるだろう。
 
 
しかし、リフォーム営業はそこまで無理をさせることが少ない。たしかに、「売り切る」という営業スタイルはリフォーム営業でもいるのだが、新築や土地のような目に見える商品ならともかく、できなければ分からない工事だと、それが押し売りにみえてしまう。できなければ分からないのなら担当者の信頼が重要となるので、リフォームで「売り切る」態度は、売り込みになり契約に至らないことが多いのだ。
 
 
よって、不動産とリフォームはセールスのポイントが違うので、そこを理解しておかなければならない。つまり、リフォームでうまくやれたことを、不動産にそのまま応用してもうまくいかない。
 
 
リフォーム営業は、既存の不動産業者にない顧客側に立った丁寧な対応をする人が多いので、それは強みにはなるのだが、あつかい商品が異なるのでセールス法は吟味しなければならない。
 
 
つまり、リフォームで成功している会社なら、営業マンに「売り切る」という意識が必要となり、不動産営業から入ってきた営業マンなら、「継続して何度も売る」という意識が必要だということだ。もう一度言うが、既存事業のうまくやれたことを、新しいチャレンジにそのまま使うと失敗しやすい。この観点は、今回の話だけでなく、どんな業種のどんな新規展開にも言える事である。
 
 
また、これまでの既存事業をうまくやれた原因に効率化というのがある。業務をどんどん効率化したことで、業績を上げられたと考える経営者は多かろう。しかし、その考えとて、既存事業の成功体験の一つである。必ずしも、おなじことをしてうまくいくかはわからないことである。次回は、そのことに関してもっと掘り下げて話していく。
 

 

 

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